HbA1cが少し高い――「まだ糖尿病ではない」で終えていい?
強い症状があるなら、次の健診を待たない
のどがひどく渇く、飲む量や尿の回数が増えた、意図せず体重が減ってきた。こうした変化があるなら、健診の数値が「少し高い」だけに見えても、早めに医療機関へ相談してください。日本糖尿病学会は、口渇、多飲、多尿、体重減少を、糖尿病でみられる典型的な症状として挙げています。[1]
さらに、意識がはっきりしない、呼吸が苦しい、失神するなどの急な体調不良がある場合は、通常の再検査を待たず、救急の医療につないでください。非常に高い血糖による重い状態や、血液が酸性に傾く糖尿病性ケトアシドーシスは、すぐに治療が必要なことがあります。[2] 緊急性の高い状態では119番を利用してください。[3]
これは、症状だけで糖尿病だと決めるための文章ではありません。HbA1cを見て安心しすぎず、体の変化を優先して伝えるための案内です。急に悪化する状態では、HbA1cがその時点の血糖の変化を十分に反映しない場合もあります。[1]
すでに薬やインスリンで治療している方は、健診結果を理由に自己判断で中断したり、量を変えたりしないでください。妊娠中や妊娠の可能性がある場合も、一般の健診結果だけで対応を決めず、担当の医療者に確認してください。
胸の痛みや強い息苦しさなどがあるなら、運動の計画より評価を優先してください。薬を使っている方、低血糖の経験がある方、持病のある方は、活動や食事を変える際の注意も担当者へ確認します。「健診の数字を下げたい」と、安全上の相談を飛ばさないことが大切です。
HbA1cと血糖は、違う時間を見ている
血糖値は、血液の中にあるブドウ糖の量を、そのときの採血で調べる値です。食事との間隔や、採血した時間によっても解釈が変わります。空腹時に測る血糖と、食事の時間に関係なく測る血糖は、同じ欄に数字があっても条件が違います。
HbA1cは、過去およそ三か月の平均的な血糖の状態を反映する指標です。[4] 赤血球に含まれるヘモグロビンに、ブドウ糖が結びつくことを利用しています。「ヘモグロビン・エーワンシー」と読むこの検査は、毎日の血糖の記録そのものではありません。
例えば、採血の日だけ食事に気をつけたから、これまでの状態がすべて消えるわけではありません。反対に、一回の食事の直後に何が起きたかを、HbA1cだけで詳しく知ることもできません。
結果用紙を見るときは、HbA1cだけを切り抜かず、血糖の値、採血日、空腹で受けたかどうか、前の結果を並べてみます。分からない条件は、推測で埋めなくて大丈夫です。「これは空腹時の血糖ですか」と健診先へ確認できます。
知りたいのは、一つの印がついた理由だけではありません。どの検査で、どの時間の状態を見ているのか。その違いが分かると、次に何を確認するのかが話しやすくなります。

数値と、検査日・測定条件を一緒に見る。