妊娠を望むなら、「まだ早い」と待っていていい?
子どもを持ちたい気持ちはある。でも、いまなのかは決めきれない。仕事の区切り、パートナーとの話、体調、家計。どれか一つが整えば答えが出ると思っていたのに、考えることが少しずつ増えていく。そんなとき、年齢の数字だけを見せられると、相談に行くことまで怖くなるかもしれません。
「まだ早い」には、違う意味が重なっています。妊娠を試み始めたばかりだから、評価には早い。妊娠の時期を決めていないから、相談には早い。治療を決心できていないから、病院には早い。この三つを同じ待ち時間にしてしまうと、いま聞けるはずのことまで後回しになります。
相談することと、妊娠を急ぐこと、治療を始めることは、同じ決断ではありません。この記事では、年齢と経過から考える評価の目安を先に示したうえで、まだ決めていない人も、すでに試みている人も、相談の日に何を確かめるかを考えます。妊娠できる期限を個人ごとに言い当てる記事ではなく、自分の希望と医療の話をつなぐための記事です。

将来の希望と、いま相談したいことを分けて考える。人物・生活場面はイメージです。
妊娠を試みるまで、相談を待つ必要はない
妊娠前の健康を考える相談は、妊娠が成立しない人だけのものではありません。米国産科婦人科学会と米国生殖医学会の共同文書は、避妊をしている人や、これから妊娠を考える人にも、妊娠前の相談が適切であるとしています。持病、薬やサプリメント、予防接種の状況などを確認することが含まれます。[1]
「いまは決めていない」と伝えてよいと思います。相談の入り口を、妊娠したいか、したきないかの二択だけにしなくてもよい。「将来は考えている。いまの薬や体調で、先に確認したほうがよいことがあるか知りたい」という問いもあります。
私は、相談に来たこと自体を、妊娠や治療への同意として扱いたくありません。年齢の話を聞くこと、検査の必要性を聞くこと、仕事を続けながら受診できるか尋ねること。どれも、次の行動を選ぶための情報です。情報を受け取ったあと、希望を話し直す余地は残っていてほしいと思います。
この記事の年齢の話も、妊娠するべき年齢を決めるためのものではありません。妊娠を望まない選択や、まだ分からないという答えに、医療情報を使って圧力をかけるつもりはありません。望んでいる人が、知らなかったために相談を先延ばしにしないための話です。
妊娠を考えたからといって、処方薬を自己判断で中止しないでください。妊娠中にも、病気の治療のために継続が必要な薬があり、厚生労働省も、一律にやめるべきではない場合があると説明しています。薬の名前と、何の病気のために使っているかを、主治医や薬剤師へ伝えて相談します。[2]
一年、六カ月という数字は、相談を禁止する線ではない
米国生殖医学会の2021年の評価に関する文書は、特に早く評価すべき事情がなければ、避妊せず妊娠を試みている期間を踏まえ、妊娠する側が35歳未満なら12カ月、35歳以上なら6カ月を評価の目安にしています。40歳を超える場合には、より早い評価が適切なことがあります。[3]