そのサプリ、本当に続ける価値がある?――費用と効果の見方
棚の中に、飲み始めた理由をよく思い出せないサプリがある。体に良さそうだと思って買った。最初は期待していた。いまは効いているのか分からないけれど、やめたら調子が悪くなるのも怖い。
サプリの判断は、「全部無駄だからやめる」か、「健康のためだから続ける」かの二択にすると、かえって難しくなります。足りない栄養を補うことと、栄養が足りている人の病気を防ぐことは違います。同じ成分でも、誰が、何の目的で、どの量をとるかによって、確かめるべきことが変わります。
この記事は、おすすめ商品を順位付けするためのものではありません。いま払っている費用に対して何を期待しているのか、その期待を研究はどこまで支えているのか、薬との組み合わせを含めてどう相談するのかを考える記事です。買い続ける理由も、買わない理由も、怖さだけで決めなくてよいようにしたいと思います。

買い続ける理由を、効きそうな印象だけでなく、目的と費用から確かめる。製品・人物はイメージです。
飲む目的を、一文で言えるだろうか
「健康のために」という目的は広すぎて、効いたかどうかを判断する終点がありません。疲れを減らしたいのか、不足している成分を補いたいのか、将来の病気を防ぎたいのか。まず、この三つを一緒にしないところから始めます。
医療機関で栄養の不足が確認され、補充を勧められている人と、広告を見て病気予防のために始めた人は、同じ「サプリを飲んでいる人」でも判断の前提が違います。欠乏に対する補充まで、健康な人の予防研究で否定することはできません。[1]
米国の予防医療の専門家組織USPSTFが2022年に示した推奨は、地域で暮らす妊娠していない成人の、心血管疾患やがんの予防という問いを扱っています。子ども、妊娠中や妊娠を考えている人、栄養欠乏がある人などを、同じ結論の対象にはしていません。[1]
この範囲では、マルチビタミンや多くの単独・二成分の補充について、利益と害の釣り合いを判断する根拠が十分でないとされています。βカロテンとビタミンEは、この病気予防の目的で使うことを勧めないという判断です。[1]
「根拠が十分でない」は、「どんな用途でも絶対に効かない」と同じではありません。しかし、「悪いと証明されていないから、効果は期待してよい」と読み替えることもできません。結論が出ていない部分は、出ていないまま扱う必要があります。
同じボトルの前でも、「不足を補う必要があるか」と「将来のがんを防げるか」は別々に考えます。ここを分けるだけで、サプリを続けるかという問いが、少し具体的になります。
私は、この目的が分からないまま商品名の良し悪しを決める相談にはしたくありません。たとえば「疲れるから飲んでいる」なら、飲み始めた理由より前に、いつから疲れるのか、生活の何ができなくなったのかを聞く必要があります。目的が「病気の予防」なら、広告が挙げる病気と、研究が測った結果が同じかを確かめます。どちらも、成分の名前を増やすだけでは答えになりません。
栄養が足りないか心配だという人には、食べられているか、食事が変わった理由は何か、すでに医療者から指摘されていることはあるか、と話を広げます。忙しくて食べられないのか、食欲がないのか、ある食品を避けているのか。これは、この場で欠乏を診断する問診ではなく、「不足していそう」という一言を、相談できる状況へ戻すための問いです。

確認された不足の補充と、健康な人の病気予防は別の問い。同じ成分名でも、研究の結論をそのまま移せません。