痛風を知る——発作の対処から予防まで
今回は、痛風と呼ばれる関節の激しい痛みが特徴的な疾患についてわかりやすく解説していきます。痛風は「高尿酸血症」が引き金となり、代表的には足の親指の付け根などに突然の激痛と腫れを引き起こす「痛風発作」をきたす病気です。痛みが非常に強いため、「もう動けない」と感じるほどのつらさを訴える患者さんも少なくありません。しかし適切な治療と生活習慣の見直しによって、多くの場合は症状のコントロールや再発予防が可能です。本ニュースレターでは、アメリカやヨーロッパ、日本国内のガイドラインなどを参考に、痛風について幅広く情報をお届けします(1)(2)(3)。
1. 痛風とは?
1-1. 高尿酸血症と痛風発作
痛風は、高尿酸血症が長期間続くことで体内の関節や周囲組織に尿酸塩結晶が沈着し、強い炎症と痛みを起こす病気です。尿酸はプリン体という物質が代謝されてできる老廃物で、腎臓から排泄されます。しかし、何らかの理由で尿酸の産生が過剰になったり、排泄が低下したりすることで血中尿酸値が上昇し、高尿酸血症となります。
痛風発作は、血中や関節内の尿酸濃度が急激に変動することをきっかけに起こると考えられており、しばしば夜間や早朝に突然起こる激痛が特徴的です。痛風発作の初回では、足の親指の付け根(第1中足趾関節)が最も頻度が高いですが、足首や膝、手指などにも起こり得ます(1)(2)。