見逃せない「貧血」のサイン
今回は「貧血」について、できるだけ分かりやすく、かつエビデンスを踏まえながら詳しくお話ししたいと思います。貧血はとてもよくある疾患のひとつですが、放置してしまうと日常生活の質(QOL: Quality of Life)を大きく下げてしまいます。特に、「いつも疲れやすい」「立ちくらみがする」「集中力が続かない」といった症状がある方は要注意です。ここでは、原因・症状・診断方法・治療・予防策など幅広いトピックを網羅し、できるだけ噛み砕いて説明していきます。ぜひ最後までお読みいただき、貧血への対策にお役立てください。
1. 貧血とは何か
貧血とは、赤血球の数あるいは赤血球に含まれるヘモグロビン量が不足して、全身の組織へ十分な酸素を運べなくなった状態のことを指します(1)。赤血球は骨髄という場所で作られ、体内の鉄分やビタミンB12、葉酸などさまざまな栄養素を材料にしてヘモグロビンが作られます。これらの材料が不足したり、赤血球が失われたり、壊れたりすることで貧血が起こります。
「立ち上がるとクラッとする」「階段を登ると息切れする」「集中力が落ちる」などの症状で気づく方もいれば、健康診断の血液検査で初めて指摘される方もいます。いずれにせよ、貧血は放置していると疲労感や生活の質低下を招きやすいため、原因を特定して適切にケアしていくことが重要です。
2. 貧血の原因
2-1. 鉄不足(鉄欠乏性貧血)
貧血の中で最も頻度が高いのが鉄欠乏性貧血です(1)。体内の鉄が不足すると、ヘモグロビンを十分につくれず、赤血球のヘモグロビン量が減少します。鉄不足の原因としては以下が挙げられます。
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食事中の鉄分不足:偏った食生活、ダイエットなど。
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出血:月経過多や消化管出血(胃潰瘍や大腸ポリープなど)が原因の場合も。
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吸収障害:消化器疾患により、摂取した鉄が十分に吸収されない。
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- 3. 貧血の主な症状
- 4. 貧血の診断方法
- 5. 貧血の治療
- 6. 貧血の予防策
- 7. 受診の目安:こんなときに医師に相談を
- 8. 総合診療医DIOからのメッセージ
- 9. 参考文献
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