チャイルドシートが守る小さな命
はじめに
先日、埼玉県川口市でトラックとワンボックスカーが衝突し、ワンボックスカーに乗車していた生後6か月の女の子が意識不明の重体となる痛ましい事故が報道されました。
チャイルドシートが設置されていなかったことから、衝撃をまともに受けた可能性が指摘されています。このような事故報道に触れるたび、「自分なら大丈夫」「短い距離だから装着しなくても平気」という油断が、取り返しのつかない事態につながることを痛感します。
本記事では、チャイルドシートの装着にまつわる法律やエビデンス、具体的な選び方・使い方などをわかりやすくお伝えします。私自身も最近は交通事故患者さんを診る機会は減ったものの、初期~後期研修医の頃は交通事故で重傷を負った患者さんを診療する場面に少なからず遭遇してきました。事故は予測不能であり、また同乗者に与える影響の大きさは想像を絶します。特に発育途上の赤ちゃんや小さなお子さんは、大人より頭部が重く、骨や筋肉が弱いため、ちょっとした衝撃でも大きなケガを負いかねません。だからこそ、チャイルドシートの正しい装着は「命を守る最後の砦」と言えるのです。お子さんを持つご家庭にとってとても大切な内容ですので、是非ご一読ください。とても大事な内容ですので、登録のみで無料で読めるようにさせて頂きますので、是非ご登録宜しくお願い致します。
チャイルドシートの法的義務と現状
日本の道路交通法では、6歳未満の幼児を自動車に乗車させる際にチャイルドシートの使用を義務付けています(2)。しかし、警察庁や自動車関連団体の調査によると、その着用率は一時期より上昇したものの、未だ十分とは言えません。JAFが行った「2022年チャイルドシート使用状況調査」でも、正しく使用されていないケース、あるいはシート自体が設置されていない例が確認されました(3)。実際、「泣いてしまうから乗せづらい」「取り付けが煩雑なのでつい後回し」「家計の負担が大きいので買い替えられない」など、多くの家庭事情や心理的ハードルがあります。しかし、それらを放置したままでは、いざという時に取り返しのつかない結末を迎えてしまうかもしれません。
お子さんはご家族が安全を確保してあげられる唯一の存在です。泣く一時の大変さより、万が一のときに守れない後悔の方がずっとつらいです。実際、事故が起きたときに受ける衝撃は時速数十キロでも子どもにとっては致命的なダメージとなりかねません。
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- チャイルドシート着用のエビデンス
- 年齢・体重別に見るチャイルドシートの選び方
- 事故を未然に防ぐための心構え
- ■ DIOからのメッセージ
- 参考文献
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