COVID-19ワクチン「コスタイベ®」の持続免疫効果とは

欧州委員会による承認、12か月間の免疫持続効果、日本での最新研究開発状況など、自己増幅型mRNAワクチン「コスタイベ®」の最新情報を分かりやすく解説します。
総合診療医DIO 2025.02.15
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はじめに

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、2020年初頭から世界中に大きな影響を及ぼし、私たちの生活様式を根本的に変えました。治療や予防に関する研究開発が飛躍的に進む中、特にワクチン分野ではmRNAワクチンが一躍脚光を浴び、これまで多くの感染予防に寄与してきたことは周知のとおりです1)。しかし、従来型mRNAワクチンにおいては、免疫効果の持続期間や変異株への適応、ブースター接種の頻度など、なお改良が望まれる点も浮き彫りになりました。

そのような背景のもと、新たな選択肢として登場したのが「自己増幅型mRNA(sa-mRNA)ワクチン」であり、日本国内では「コスタイベ®」として知られています。2025年2月14日、グローバルバイオテクノロジー企業のCSL社とArcturus Therapeutics社が共同開発したコスタイベ®(ARCT-154)が、欧州委員会から初の自己増幅型mRNA COVID-19ワクチンとして承認を取得したとのニュースが大きな話題を呼びました2)。さらに近年の国内研究により、コスタイベ®のブースター接種で12か月後まで高い抗体価を維持できるという報告も示され、ワクチン技術の次なるステージを強く印象づけています3,4)。本ニュースレターでは、コスタイベ®がもたらす臨床的意義や技術的特徴、そして最新データについて、総合診療医の視点から詳しくご紹介していきます。(そして、今回はコスタイベについて等の書籍など購入のため有料にさせてください。大変申し訳ありません。しかしその分、最新のワクチン事情やコスタイベ打った方が良いか?などの客観的なデータについてはいつも以上に力を入れて記載しましたので、迷っている方はご参考にしていただければ幸いです。)

1.コスタイベ®とは何か?

1.自己増幅型mRNAワクチンの基本構造

mRNAワクチンは、人体の細胞にウイルス由来の遺伝情報(mRNA)を投与し、その情報をもとに体内で抗原タンパクを合成させることで免疫反応を誘導する技術です1)。一方で、自己増幅型mRNA(self-amplifying mRNA)は、mRNA自体を増幅させるための配列を組み込み、少量のワクチン投与でも多くの抗原タンパクを産生できる可能性があり、これはより高い免疫応答や長期の抗体保持といったメリットにつながると期待されています。

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