バレンタインに楽しむ甘くて健康的な選択とは:ダークチョコレートは2型糖尿病リスクを下げる?
バレンタインとチョコレートの季節
バレンタインシーズンになると、スーパーやデパートには多種多様なチョコレートが並びます。もらう側もあげる側も、そして自分への“ご褒美チョコ”を探す人も増えるこの時期、チョコレートは単なるお菓子を超えた特別なアイテムとして愛されています。一方で「チョコレートは体に良い」「いや、太る原因になるから避けた方がいい」など、健康への影響に対する意見はさまざまです。実際に診療現場でも、糖尿病や肥満が気になる患者さんから「チョコレートを控えたほうがいいですか?」と聞かれることは少なくありません。
そこで本ニュースレターでは、最新の研究を含め、チョコレート摂取と健康リスクに関する最新知見をまとめました。バレンタインを楽しみつつ、上手にチョコレートを取り入れる方法を一緒に考えてみましょう。

1. 最新論文から読み解く「ダークチョコレート」と2型糖尿病リスク
1-1. 2024年発表の大規模前向きコホート研究
ここ数年、チョコレート摂取と健康リスクをめぐる研究は世界中で数多く行われています。その中でも特に注目を集めているのが、2024年に発表された下記の論文です。
-
Chocolate intake and risk of type 2 diabetes: prospective cohort studies (2024)Binkai Liuらによる大規模前向きコホート研究(1)
この研究は、アメリカで行われた3つの大規模コホート(Nurses’ Health Study, Nurses’ Health Study II, Health Professionals Follow-Up Study)を対象に、チョコレートの種類(ダーク、ミルク、合計摂取)と2型糖尿病(T2DM)リスクとの関連を長期的に調査したものです。既存の多くの観察研究では、チョコレート全体の摂取量と健康影響をひとくくりに評価しており、結果が一貫しない傾向がありました。そこで本研究では、特に「ダークチョコレート」と「ミルクチョコレート」を区別して解析している点が大きな特徴です。
1-2. 結果の概要
-
追跡期間中、約1万8000例の新規2型糖尿病が発生